一般社団法人母親学校普及推進委員会

妊娠中や出産直後は、急激な生活の変化から気分の浮き沈みも激しくなり、我が子を愛おしく思う反面で、「ちゃんと育てられるだろうか……」など、不安を感じたり、また、幼児期の子どもを持つ親は、大人には理解しがたい子どもの言動に振り回されるばかりで、自分の子育てに自信が持てなくなっているかもしれません。このような子育てに対する不安や疑問は、発達についての正しい知識を持つことで、ほとんどの問題が解消されます。子どもの心身の変化や知的な発達について、家庭教育を学ぶことで、子どもから出現している特殊な才能や、鋭い感受性をキャッチし子どもに還元することができるようになり、その結果、子どもが健やかに成長することで、親としての自信を持てるようになり、子育てに余裕を持つことができるようになるでしょう。

様々な事情において、子育ての中心を担われることになったご家族は、子どもの言動に戸惑われ、大きな責任を感じているかもしれません。子どもの成長に大切なことは、穏やかな家庭にあって、発達に沿った環境を常に整えてもらっていることです。子どもの周囲にいる大人は、そのことをよく理解し、子どもの発達の機会を逃すことのないよう、成長段階に合った環境の構成について正しい知識を習得しておく必要があります。実の母親が子育てに参加できない環境であっても、子どもが常に安心を得られ、知的に満足できる環境を用意してくれる人物が側にいれば、子どもは心身ともに健やかに成長していくでしょう。

幸運に恵まれ、お子さんを引き取ることになったご家族は、子どもと共に歩むこの先の人生に大きく胸を膨らませていることでしょう。その反面、子どもを持つ喜びは、子育ての経験がないことに不安を同時に抱かせてしまうかもしれませんが、子育てにとって大切なことは子育ての経験ではなく、子どもの成長についての正しい知識を親が持っていることの方が重要です。家庭教育を学ぶことで子どもの変化に敏感になり、その結果、子どもから受け取った情報を子どもに正しく還元できるようになります。そのような親の元で育つ子どもは、いつも満足そうで誰に対しても穏やかです。そんな幸せそうな子どもの姿を見る日々の中で、いつしか親としての自信を持てるようになっているでしょう。

子どもの言動をどのように理解し、発達の援助をどのように行うべきか悩むご家庭は少なくありません。教育者や発達に関わる専門家でない限り、一般の親が子どもの何気ない言動から発達における重要なポイントを捉えるのはいささか困難です。というのは、発達初期の子どもの成長の度合いは個人差が大きいため、大人は発達の分岐点になるような子どもの言動よりも、他人と比べることのことの方に注意が行ってしまいがちだからです。発達の援助に重要なことは、人と比べることではなく、明日の発達を予測し常に環境を整えなおすことです。子どもの発達や特性に合わせた適切な環境を用意することで、問題行動と思われるような言動もいつしか改善され、子どもの本来持つ輝かしい能力が発揮されるようになるでしょう。